凍結保存液とは、細胞を長期間にわたり保存するために使用される専用の液体です。
主に10%前後のDMSO(ジメチルスルホキシド)を含むことが一般的で、細胞が凍結される際に氷晶の形成を抑え、細胞構造の損傷を防ぐ働きを持っています。
このような凍結保存液を用いることで、細胞の機能や生存率をできるだけ高い状態で維持したまま、低温での保存が可能になります。
目次
凍結保存液の安全性が求められる背景

再生医療等安全性確保法に基づく最新Q&Aでは、凍結保存液もリスク管理の対象に位置づけられ、保存温度・容器・汚染対策まで具体的要求が明分化されました。
「再生医療等安全性確保法における 細胞保管に関する考え方 Q&A」から見る要求事項の一例
- ガラス転移温度以下での保存
「凍結保存液の種類によらず、ガラス転移温度以下に設定すれば生物学的反応は停止する」ことが明記され、温度管理の根拠提示が必須となりました。 - 一次容器・区域管理のリスク評価
汚染(微生物・塵埃)対策や容器耐久性の継続的検証が求められ、GMP 同等の文書化・トレーサビリティが要求されています。
詳細は再生医療等安全性確保法における細胞保管に関する考え方 Q&A 集をご確認ください。
凍結保存液のリスク

- DMSO残留と副作用
視力障害を招いたケースでは、細胞投与前にDMSOを十分除去しなかったことが疑われています。DMSOは血管収縮作用を持つため、高濃度残留は有害事象を引き起こす可能性があります。 - 洗浄プロセスとコストのせめぎ合い
洗浄の徹底は手間とコストが掛かるため、品質マネジメントシステム(QMS)内で手順を標準化し、逸脱時の根本原因解析(RCA)まで含めた体制づくりの検討が必要です。
まとめ
これらの法規制の整備や臨床での有害事象から、凍結保存液はもはや単なる保存媒体ではなく、「血清代替品」と同じように安全性と品質管理が求められる時代へと移行しつつあります。
細胞治療の普及とともに、凍結保存液は患者さんの安全に直結する重要な要素。品質や使用方法については、これまで以上に細心の注意を払うよう心がけましょう。
また、株式会社PureCellでは、再生医療で「コストを削減したい」「安定した品質・供給を求めたい」というお客様に向けて、「細胞培養用培地」「培地添加剤」など、再生医療研究用試薬のご相談を承っております。
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